奈良、十津川水系釣行。~3戦目~

ゆみ王

2023年04月25日 22:00



ここは、奈良県は十津川村に近接するとある渓。

いつものように、仕事を終え前乗りして翌日の釣りに挑んだ。



軽キャンを購入してもうすぐ5年が経つ。

何年経っても、釣り前泊の孤独な宴時がホッとする。



山奥の暗闇、獣と虫以外に生命反応は無い。

そんな中、車中にジャズを流して疲れた体に流し込む一杯。

色々な悩み、辛さから解放されるひと時だ。



愛していた妻に裏切られ、愛する子供たちを託し、愛するマイホームや財産もすべて託し、全てを失ってからもうすぐ5年が経つ。



この5年間。

死ぬほど苦しかった。



太宰治の「東京八景」の中に登場する一文。

「人間のプライドの窮極の立脚点は、あれにも、これにも、死ぬほど苦しんだことがあります、と言い切れる自覚ではないか」



死ぬほど苦しかった、と言っている時点で、もう乗り越えているのかな。



おはよう。

ヤマツツジが優しく朝を迎えてくれる。

花って、神様が人間に与えてくれた、数少ないご褒美だと思う。



渓に向かう。

ひどい渇水で、爺さんの小便様を超えて尿漏れの域に達している。



砂漠を歩いているような感じ。



足元の石を見ると、ベージュ色の羽虫が止まっている。

よし、今日はベージュ色の毛ばりを選択。



渓の至る所にヤマフジ(多分)が咲いている。

都会で見る整えられた藤の花よりも、こうして山奥でひっそりと咲くヤマフジのほうが、自分は好きだ。



釣りの記事を見ていると、渇水で厳しいとか先行者がいてどうこうとか、出来ない理由ばかり述べる人たちが多い。



渇水でも、先行者がいても、動じずに釣る。

その精神力が、それらマイナス要因を吹き飛ばすと思う。



最高の河原石があったので、ここで朝食タイム。



強い精神力を身に付けた自分だが、先日、つい動揺する事態に直面した。

遅い仕事を終え、最終電車に乗り遅れた自分は、始発までの数時間を初の「ビデオ試写室」という空間で過ごした。



ただ少し、仮眠を取るだけのつもりだった。

仮眠を取る前に、少しだけ魔が差して7枚だけエッチなDVDを借りた。

店員さんに無理やり勧められて、はじめて大人のおもちゃも買ってみた。

大人のおもちゃ、もっと早く知っていたら良かった♡



人間はね、皆生まれた時から「死」という崖に進んでいる。

その恐怖から逃れるために、仕事、結婚、趣味、遊び、人との触れ合い、そういった気晴らしをしている。



フランスの哲学者、パスカルの言う通りだと思う。

それにしても、この渓のアマゴは引き締まったbodyをしている。



テンカラ釣りをはじめて、もう8年近く経つのかな。

この渓は、色々なことを教えてくれる。

渇水だからこそ、限られた箇所で食事を待ちわびている渓魚の気配。



釣りとは、やはり難易度が高い状況で釣りあげる一匹のほうが、はるかに幸福度が高いと思う。



今日はもう十分に「死の壁」に向かう過程の気晴らしが出来た。

煩悩の中でも、執着ほど醜い欲望は無い。

今日の釣りは終わり。



山奥でひっそりと咲くやまふじ。

この世に生まれ変わりがあるとしたら、花として生きるのが一番苦しみが少ないかもね。



最近、揚げたての天ぷらが食べたくてフライヤーを買った。

釣行後、今までは庭でのバーベキュがルーティンだったが、天ぷらも中々良いね。



サルスベリ、梅、松、ツツジ、紅葉、ツバキ。

春は良いな、庭の木々の生命力が満ちあふれている。



以前の家に引き続き、この家でも去年から家庭菜園を始めている。

すべての風景は変わったが、変わった中ですべて元に戻ってきた。

諸行無常を痛感する。



自分で育てたオクラとシシトウの天ぷらを食べたくて、新たに菜園スペースを拡張した。

通称「真田丸」



最高に楽しい渓に出会えた。

今週中にまた行こう。












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