ここは、奈良県十津川水系のとある渓。
時が過ぎるのは早く、あっという間に今シーズンのラスト釣行。
数日前に、奈良県を襲った線状降水帯。
普段は渇水の下流が、今日は見違える光景。
ここはね、以前増水時に大物が出たため、予定していた上流釣行は止めてこの場所での釣行を決断。
大物を期待して毛ばりを投げると、まさかのカワムツ・・・。
一級ポイント。
ワクワクしながら毛ばりを投げ、ラインの僅かな動きを見逃さずに合わせる!!
大物には程遠い、煮干しサイズのチビアマゴ・・・。
でも、これは渓魚の再生産がこの場所で行われている証拠であり、嬉しくもある。
めぼしいポイントで毛ばりを投げると大きくラインが動き、大物か!?
と思ったら、大きなオイカワ。
オイカワも良いのだけれど、やっぱり7月の婚姻色満開のオイカワには及ばない。
底石の位置、波立っている水面、流れる速度を見極め、考え抜いた渾身の毛ばりを投げる。
毛ばり着水後、2秒程度経過すると僅かにラインが動いた。
今度もオイカワか~、と思って合わせると・・・。
ズシリ・・・。
なんだ、この感触は・・・!?
すんごい引き!!中々こっちに来ない!!
これは絶対に、求めていた・・・。
釈由美子アマゴや~!!
※釈由美子アマゴとは、サイズを抜きにして、引き・魚体・釣りの面白さなど、各方面を総合してトップクラスのアマゴと認定される個体である。
フックが外れないかハラハラしながら竿のしなりを堪能し、ようやく引き上げに成功!!
力士のようなサイズを想像していたが、予想外に引き締まった全身筋肉質のアマゴ。
これは・・・まさに・・・伝説の・・・。
三島由紀夫アマゴや~!!
※三島由紀夫アマゴとは、凄まじい筋肉質&シャープなボディを持った尺アマゴに匹敵する個体である(2023,ゆみ王)。
この一匹で、今シーズンを終わらせたい、心底そう思えるやりとりだった。
もう、今日の釣りは終了して野営地へ戻る。
基本は孤高の釣り師の自分だが、到着を待ってくれている人がいる。
超人気ブロガーの「八兵衛」さんである。
今日は互いに奈良県の大自然を満喫し、その後この秘密の場所で合流する約束をしていた。
一人で乾杯するのも良いけど、やっぱり人間、こういうのも楽しいね。
ブログって、本当に良いね。
同じ趣味、似たような思考の持ち主を引き寄せてくれる。
何時間も深い話をしていて、すごく楽しい時間を共有させてもらった。
睡魔に襲われ、僕は先に就寝。
朝を迎える。
先週とは打って変わり、凍えるような夜だった。
たった一週間で季節は大きく変わる、たった一日で人生は大きく変わる。
人生とは、概ね悪い方向に変わるのが常である。
しかし、その悪い方向と対峙して、自分の魂を崇高な方向へ磨き上げることが、この世の存在意義であり、生きる使命だと最近思う。
外に出ると八兵衛さん、数時間前から既に起床されていたようだ。
この方の笑顔は、色々な苦しみを経験して醸成された本当に良い表情をされている。
「表情」とはよく言ったもので、心を表に表すものである。
冷え切った身体に早朝ラーメンを注ぎ込む。
美味い。釣りばっかりではなく、こうしたキャンプ要素を組み込むことで更に充実した一日になるね。
食後のコーヒータイム。
渓流を眺めながらの一服、朝から感無量。
今朝の釣りをして、今シーズンラストの釣行にする予定だった。
しかし、昨日に三島由紀夫アマゴに出会えたおかげで、あれを最後の締め括りにしたいと言う気持ちになっていた。
もう何もしない。僕を再び待ってくれている、二回目の家庭へ帰ろう。
2023.今シーズン終了。
奈良県十津川水系、生涯のホームリバーに決定。